スペインの農業食糧環境省が11月11日、2012年の農作物の作付面積や収穫量などをまとめた統計年鑑を発表しました。スペイン国内のデータが品目別・州別で収録されていてサフランの項目もあります。スペインでのサフランの生産量は1.8トンでした。
一方で同年にスペインが輸出したサフランの量はEUの統計によれば185トン。スペインでの生産量は輸出量の1%未満だということです。なぜこのような奇妙ことが起こるのでしょうか? それはスペインがおそらく世界一のサフランの輸入国だからです。
このグラフはスペインにおけるサフランの生産量と輸出量、輸入量の推移を示したものです(単位は100kg。生産量はスペイン農業食糧環境省のデータ、輸出入はEUの統計データによる)。輸出量と輸入量が生産量より格段に大きいのが一目瞭然です。スペインがどの国からサフランを輸入しているのかをEUの統計で調べると、年によって量の多少はありますが、イランが大部分を占めています。
スペイン産として流通しているサフランのほとんどはイラン産だと推測できます。
食品の原産国は本来、その作物や製品を生産した国が表示されます。スペインが他国からサフランを輸入してそれをスペイン国内で袋詰めしただけであれば、その製品は「イラン産」や「インド産」などと表示されるべきですが、スペインの現行ガイドラインでは国内で袋詰めするだけで「スペイン産」として表示できるとイギリスの新聞が報道していました。(The
Telegraph(電子版)2011年1月31日付"Spanish saffron scandal as industry accused of importing cheaper foreign varieties")
日本国内で見かけるサフランの大部分は「スペイン産」と表示されていますが、大部分が実際にはイラン産だと考えて間違いないでしょう。
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