もうすぐゴールデンウィークですね。今年は祝日の並びのせいで休みを長く取りにくく残念に思っている方もいらっしゃるかもしれません。
さて5月5日は端午(たんご)の節句です。男の子の健やかな成長を祈願して、各種の行事を行う風習がありますね。私は関東の出身ですが名古屋に来て仕出し弁当屋のチラシか何かで「黄飯(おうはん)」--名古屋では「きいはん」とも読むらしい--という食べ物があるのを初めて知りました。黄飯とはクチナシの実で黄色く染めたご飯のことで名古屋近辺では黒豆を入れたものを食べるようです。黄色に魔除けや厄除け、邪気払いの意味があるとか。中に入れる黒豆は、まめに(元気で健康に)育つようにとの願いが込められています。
お祝いと言えば「赤飯」、端午の節句と言えば「ちまき」だと思っていたので「黄飯」の風習にはとても驚きました。少し調べてみると静岡県東伊豆町稲取にも同様の黄色い飯があり、こちらは「きめし」と読むそうです。薄い塩味で、ひな祭りの際に食べるそう。
黄飯のルーツは九州大分県の臼杵市の郷土料理「黄飯」にあると言われています。
これはクチナシの実を煮た汁で黄色く炊いた飯にエソという魚や根菜類を具に入れたかやくと呼ばれる汁をかけて食べるもので古くからお祝いや、もてなしに用いられてきました。黄飯の歴史は古く16世紀半ばまで遡ることができるといいます。当時この一帯を治めていたのはキリシタン大名として名高い大友宗麟でした。宗麟は西洋文化を積極的に取り入れたことでも知られ、なんと黄飯は宣教師が作ったパエリアに由来するという説もあるようです!
一方で黄飯は中国から伝わったものだという説もあります。
こちらは中国の禅寺で食べられていた「法飯(ほうはん、野菜などの煮ものをのせた飯)」がなまって「おうはん」になったというものです。
クチナシの実にはクロシンという成分が含まれ、古くから黄色にする着色料として用いられてきました。これは繊維を染めるだけでなく食品にも用いられ、サツマイモや栗、和菓子、たくあんなどを黄色に染めるのに用いられています。クロシンはサフランの色素の成分でもあります。
キリスト教由来か、禅宗由来か。「黄飯」の歴史に思いをはせながら、我が家は今年の端午の節句にパエリアを囲むとしましょう。
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